自戦記17 勝負を分けたテンパイ取らず
僕は開局の座り場所は、北家が一番有利だと思っている。以前メインフィールドだった天極牌(ハンゲーム)では成績一覧に席順ごとの成績も載っており、一番いいのは北家だった。
それに、データ麻雀系の本でも北家スタートが一番成績が良い傾向にあると読んだ覚えがある。
こんな傾向は何が理由で出てくるのだろう?そのうち考えてみたいなぁ。
今回は全員三段の三段対決(そのまんま)。
三段坂は天鳳における最初の関門なのではないかと感じる。ラスしかptを失わない天鳳ではあるが、段ごとにラスのptが決まっており、1・2位の獲得ptは卓によって決まる。三段は基本的に上卓における最高段位で、初・二段より多いラスptに苦しむ。
四段と比べても少しだけラスptが低いだけで、特上ほど一度に稼げるptは多くない卓で戦わなくてはならない。
もちろん特上の方が段違いに勝つのが難しくなるのではあるが…
僕も恥ずかしながらずっと三段で停滞(昇段pt1200のうち200〜600ptくらいを浮沈)しているのだ。すでに新人〜二段期間を三段在位期間が上回っているだろうなあ。三段坂に苦しみだしてから別垢をやたらと作るようになったのも昇段を遅らせる要因となってしまっている。
どうでもいいが僕は三段坂という言葉を三段へ上るため二段で戦っている期間と勘違いしていたことがあった。諸氏はこのような勘違いなきよう。三段坂はそのまま三段の期間という意味だ。
東1
下家が十中八九筒子染めといった河(国士もあるけど、ドラが役牌なのでチャンタも含めメンツ手の可能性が高まる)。
自手がそれほど悪くないので絞らずにいく方針(ドラ中だけは絞るけど、純粋な絞りというより自分が重ねて使うことも目指す)。
それはいいとして、画像の打9筒は悪手。
ペン7筒の受け入れを消しても7筒引きが完全な裏目ではないし、索子のくっつきに期待しようという手。だが三色などの手役はもう見切っているので、ここは素直に受け入れがいい打牌をするべき。
瞬間的には3ヘッドだが萬子は面子化する可能性が高く、打9筒としたせいで、7筒が入ると嵌張一盃口の形になって筒子ヘッドがなくなってしまう。
画像では普通に打7索か。
赤なしなら、7索と4索の受け入れは同じなので端に近く和了りやすい待ちになりやすい7索を残すが、赤5を考慮した打牌をしたい。
でも赤ありでも、赤は1枚しかないので殆ど考慮しなくていいのかもしれない。この優劣は分からないな〜(上級者ほど4索切って7索残しを推奨しているような印象はある)。
一応、鳴きに対して先に有効牌を切ってしまうことで鳴かれずに済むということもある。今回も、9筒は下家の現状唯一の雀頭候補なので鳴かれなかったが、後で切ったら鳴かれた公算が高い。
とはいえ、早く鳴かせて手を進められてしまう場合も多いわけで、そのまま高い手を聴牌されては、このような平場では明らかなマイナスとなる(状況によっては下家に鳴かせるのは有効)。
今回の自分の手はそこまで早くもなく、高くもないということでもしも下家が本手だったらなかなか対抗できない。
本譜は鳴かれるか分からない以上、リスキーな選択だった。
場面によっては先に切っていくのも有効だと思っているのだがどうなのだろう?今のところよく分からないし、こういった風な言及をしている人も見たことがないな。
萬子で3メンツが見込めた、ここは悩みどころだった。だけど天鳳では一打の制限時間があるのでそれほど考えられない。
筒子で1メンツと頭を作るつもりで打4筒とした。嵌7筒の一盃口も残る。
こう書くと自信ありげだが、実際よく分からなかった。でも裏目っぽい5筒引きでもテンパイするので裏目にはならないのはポイント。
調べてみたら一応打4筒は受け入れ一番だった。
だが、そもそも前の画像の場面で打9筒とせず、まっすぐいっていればここで平和テンパイしている!このテンパイ逃しは結構痛い。反省。
また、先にドラの中をしれっとツモ切りしているが、これもどうなんだろう?巡目的にも5割くらいの確率でポンorロンされてしまいそう。
平和ドラ1の一向聴なのでとても迷う。これより良い手なら切っていいだろうし、これより悪ければ切らない方がよさげ。
対面からリーチがかかってしまったところでやっとテンパイ。2副露の下家も少し怖かったけど、ドラが鳴かれなかったので攻められると判断して曲げた。
すぐに上家も追いついてリーチに出た。三家立直は対面が上家に放銃という結果に。
下家は追いつけずオリていたが、自分もこれだけ筒子を切り出し鳴かせてしまったので高打点(ホンイツ中ドラ3の跳満とか)テンパイを入れられる可能性も結構あった。ちょっと無警戒すぎたかな、と思う。
東2
萬子と字牌が多い手牌だが、形がよくドラが1筒なので平和(や一通)狙いで。
が、早い親リーを受けてしまいすぐに手詰まる。何を切るか?
僕はシステマチックに端牌で2枚落とせる九萬を切ったがこれが刺さる。
改めて見ると、6-9萬の筋は自分が4枚持ちだ。
暗刻筋は昔から危険だと言われてきたらしいが、端牌の暗刻などについては殆ど危険度は変わらないという(ただし中張牌暗刻は大体1.5倍程度危険になるらしい)。
これまでの牌譜検証でも、暗刻の周りの牌は誰も使っておらず特に暗刻筋が危険でもない、ということが割と多くあり、それほど危険ではないという感じがした。
ただ、やっぱベタオリ時に安易に切るべきではないかもしれない。
たくさん持っている筋に関する研究がもっと進んでほしいところだ。
ただ、仮に多少たくさん持ってる筋が危険だとしても、安牌が切れてなるべく長く凌ぐ必要がある局面では筋牌を切って安牌を「水増し」していく戦術もある。
これもどれくらい有効なもんなんだかよく分からないので麻雀研究家に頑張ってほしい(丸投げ)。
画像の場面では、同じ2枚持ちでも、1萬3枚切れで「片ワンチャンス」の2萬の方が安全だったかもしれない。
(片ワンチャンスなんてあまり頼りにならないのだがw)
さらにさらに、本当はベタオリ時点で相当苦しいので、この手牌でも最初から字牌を抱えるなどより安全な道を進むべきだったのでは?という疑問もある。
でもこれくらいならまっすぐ行きたいけど…ダメかね?
東3
四風連打もあるぞ…どうする?
自分の手も悪くはないが、四風連打自体三風までいったとしてもなかなか起こらないので、普通に不要な西を打った。
下家は西を持っておらず不成立。持ってたら四風連打になってたかもな〜
この局は
ぎょええええ!?
って結果に。こりゃトップ取りは終わったな。
って言っても、何があるか分からんのがパン卓・上卓。油断しちゃいけませんよ、ふふふ…
上家の立直はまあ妥当なところ。自分ならもしかしたら黙ってしまうかも…発で出和了り5200だし…ドラなんて出ないだろうし…とかいって。
弱気っ…!そんなんじゃ勝てねぇ…!
天鳳じゃなきゃ立直するけどよ。
(なお役牌ドラと中張牌シャボ聴牌でダマるという前科持ち。しかも役牌じゃない方ツモっちまって、動揺してツモ切って和了り逃すという鉄板雑魚っぷりを露呈した…あの時は死にたくなった…(;ω;))
東4
親の上家が仕掛けており1役は見えているとはいえドラの東の扱いには慎重にならざるをえない局面。とりあえず好形を固定してみた。
巡目進んで…
親はテンパイだが東も持っておらず愚形の2900。
そこに対面からリーチが入った。
親はここで回って現物1筒切り。
持ってきた2筒は丁度当たり牌で上手いようだが、この選択は正しくないと思う。
1筒切りはほぼベタオリの手順であり、しかも安牌はそれ以外ない。オリてもオリきれない可能性が高い。それならば愚形とはいえ親でテンパイだし、めくりあった方がマシだろう。
そもそもテンパイしたのにリーチにすぐオリるようでは、こんな仕掛けをする意味がない。もっと打点が高かったり、早かったりするときにやっと仕掛けるべきだろう。
結局、親はすぐに手詰まって2筒で放銃。
かわし手としての鳴き手の分かりやすい失敗例なので、参考になると思う。
安手で鳴く時は常にこうなる可能性を念頭におく必要がある。
今回なら、上家はトップ目の親なので東を重ねない場合はオリ、という感じで打ってもよかったのかもしれない。
南1
自分ラス目の親番。ここはなんとか高めの手を和了っておきたいところ。
ドラ中で、1、3索の嵌張ターツより中を優先している。愚形のリーチドラ1止まりにはしたくない。
さらに画像では4対子となったので、ここで対子手を見て両面崩し。
が、次巡メンツが完成し中膨れ形となる2萬をツモり、何を思ったか中切り。
もう中は山にいないのではという諦念と横に伸びやすいメンツ候補ができたというのが理由ではあるが、ここら辺は完全にどうしたらいいのか方針を見失っていた。混迷の時…!
さらにさらに、なんとここで3筒ポンで聴牌を入れる。しかし役なし!!!
もちろんリーチが入ればオリるが、門前テンパイが厳しいとみてほぼケイテン狙い。
「ほぼ」だ。
稀にはこんなこともある。タンヤオと河底ついて5800だ。超絶ラッキー。
対面としてもチートイテンパイ維持しつつ打てるし、今通ったばかりの2、8索の中筋なのでかなり安全なはずのところ。仕方がないと言える。
あの仕掛けはどうだったのだろうか?こんな綱渡りを渡るような和了りではなくもう少し勝率の高い手順もありそうな気がするが、今の自分としては全力を尽くした結果だ。
南1局1本場
ここで向聴戻しの9索対子落としとした。純粋なヘッド(?)はなくなるが萬子筒子共に複合形で頭はなんとでもなりそう。ここはターツオーバーで何を切っても裏目があるので、タンヤオをみた。
何より、この好配牌でトップまで見えるのでここは大振りに!456三色もある。
が、索子の形がイマイチな「西ヨーロッパ形」なのでチーして喰いタンへ。ドラ2の5800でも十分嬉しいし、三色ついての11600も残る。
萬子の食い伸ばしから発進したが、不要で特に安全でもない9萬を残さないで素直に2索を残すべきだった。
この後5800テンパイにこぎつけるも、下家に安手で蹴られた。
南2
ふつうに進めても遅く安手愚形にしかならなそうだったので東を対子落とししてタンヤオ方面へ。萬子や索子の変化にも期待した。
萬子の三面張ができ、形がほぼ決まったが、ここでフォロー牌の7萬を残して安牌東切り。これはどうなんだろう?
この場面でも上家のダマテンとかが入っていてもおかしくはないがそれを警戒しても仕方なさそう。放銃しても安手なら局消化できてそれほど悪くもない。…のかな?
この後のリーチに対しての守備力は東残しておくのとは段違いだよなあ。まあこちとら上卓民だし!ラスっても-180ptとかんなんないし!
受け入れとしては2ヘッドになって7萬と3索の縦引き分得する。が、それだけ。ポンテン取れるようにはなるがそこまでして安くテンパイしたい局面ではない。
流局間際の上家リーチ。すでに自分はチーテンを入れている(フリテンだが)。
これに何気なく現物のドラをツモ切ると…
( ゚д゚)
何が起こったか理解してぐにゃった頃には、次の局が始まっていたように思うw
ここは同じ現物でも、当然8萬を切るべき局面。
下家のメンホンテンパイを読み切るのは無理だと思う(キッパリ)
が、ドラが危険なのは自明の理だ。
それでもテンパイを維持できるのだからごくあたりまえの一手。フリテン解消にもなるので一応出和了り可能になる(巡目ないけどw)。
今回はたまたま5萬が当たりで8萬なら通ってたけど、8萬が当たりでも全くおかしくなかった。でもそれで放銃するのは仕方ないと思う。そこまで回避はしてられない。
南2局1本場
はい、このリーチを受けた僕の気持ちを答えよ(賞金100ペリカ)。
正解: もうやんなっちゃうよ。
そしてこれである。。。
上家がやや前に出ているが、その気持ちもわかる。点数は一万切った対面と僕、四万点台の上家・下家と大きく分かれているので、それぞれ競っている相手との戦いが本当に重要。
上家は放銃リスクを負ってでも競っている親を落としに行こうとしていた。
でも、本当にトップ取りたいならダブリーの親をどうせ愚形でしょ、と舐めてベタオリし大人しく流局を待つ方が勝りそうな気も。まあでも4000オールツモられたら僕が飛ぶしなあ。。トップ取りしか意味ないなら押した方がマシなのかな。
南2局2本場〜ワイ、涙のトビ寸〜
さっきも似たような牌姿があったような…
他家に和了られるとすぐ飛ぶため、とにかく和了りたい。一方で安手で和了ったところで死期が遅まるだけという感。絶体絶命だ。
とりあえずホンイツは狙わずまっすぐ。
こうなると純チャン、789三色や萬子でイッツー、赤5萬引き平和などが見える。満貫くらいにできればしたいところ。
全てを残して1索を対子固定した。どうなんだろう。今見ても善悪は分からん。
9萬切りの方が広いし優秀だったかな?
一刻も早く聴牌してリーチして他家を牽制したい…心ははやり、焦っていた。
画像の場面ではテンパイに取れるが、シャボ待ちのリーチドラ1では和了れても苦しい。まだ巡目が許すはず!と勇気を出してテンパイトラズ。浮かせ打ちだ。
その後、理想形からは大分外れたが平和テンパイ。よし、勝負のリーチ!やっぱり天鳳はラス回避が一番燃える!()
対面も仕掛けている。どうなるか…
画像の場面ではすでに9筒が3枚切れで純チャンも三色も厳しい。8筒引きでテンパイならどっちでリーチするか迷っただろうな〜
1萬切りリーチならドラ使えるが、9筒で和了ったとき純チャンがつかず3飜無駄にする。
ドラの4萬切りリーチなら高め純チャンだが残り一枚で厳しい。リーチ平和のみになりやすい。
さて、勝負リーチの行方は…
麻雀の神は我に味方せり!
着順を争う対面から見事直撃!
そして裏1で対面トバして終局!
感謝します、神よ(急に信心深くなるやつ)(麻雀神には日頃から信心深いけどw)
3着終了。とはいえ、この苦しすぎる展開の末なので、完全に勝利といえる。ptも少しも減らない。
ラス目リーチだというのに、周りはガンガン押してきて恐ろしかったけど、対面は一回テンパイ入れてからのオリ打ち。
先に河に7筒が切ってあることが勝負を分けたな。いつも先切りのマタギが通ると思うなよ…!
ただのドヤ記事みたいになってしまったが、ラス目はこんな風に必死にあがくものなのだ、ということを伝えたかったのだ。窮鼠は猫を噛む。ラス目は他家全員を噛みにいく…!
対面の人もこのエントリーを読んで、反省しよう!君は初めからオリるべきだった!ベタベタに…!
ラス目の粘り方はこうするんですね、自分もこういう聴牌トラズとかはあまり器用に出来ないのでやっと少し掴めたかな、という感じがする。
今回はとても打点が欲しい局面だったが、平場でもこういうのは使えそうなので積極的に使っていきたい。
今回の牌譜
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